さくらももこのエッセイ「もものかんづめ」におけるメルヘン翁という話
さくらももこさん(以下さくらももこ)のエッセイは基本的に「自虐ネタ」もしくはテレビでおなじみの「家族ネタ」が多くあっさりとした面白さがあるのだが、タイトルにも挙げた「メルヘン翁」はちょっと違います。
まず、エッセイで紹介される家族は割と漫画のままのキャラなのだが、ちびまるこちゃんで優しいおじいさんとして登場する「友蔵」が実際にはろくでもない爺さんだと、「メルヘン翁」で発覚します。
じいさんが死んだ日の話なのだが、終始さくらももこは嬉しかった、じじいが本当に嫌いだった、じじいが死んで清々したぜ♪的なことを書いている。
結構衝撃的だったし、クレームもたくさん来たそうですね。実際WEB上に転がっている書評でも家族のことをそんなひどく言うなんて・・・みたいな記述がある。
当時中学生の僕もちびまる子ちゃんのブラックな作風からさくらももこ自体がぐう聖(ぐうの音も出ないほどの聖人)ではないと思っていたが、家族を嫌いということをサラッと書く、ある種のタブーをやってのけたことにショックを受けました。
さくらももこは後に「家族だからって無理に好きになる必要はない」というようなコメントを残していますが、僕もこの意見に賛成です。それは僕はたとえ家族じゃない立場であったとしても、自分の家族の一人一人を好きになれるのではないかと考えているからです。
読んでない人は読んだ方がいいと思います。流石、友人の家の火事をネタにするだけあって毒がきいてるなぁという文章で非常に面白いですよ。おススメです。